理念:医療✕クリエイティビティ

医療にクリエイティビティを

イノベーティブな医療を実現するストレスケア東京上野駅前クリニックには、独自のビジョンがあります。

当院を語るキーワードとして、次のような言葉がよく口にされます。

  • クリエイティビティ
  • イノベーション医療
  • 創発
  • ダイバーシティ
  • 楽しく学ぶ
  • 楽しく創る
  • 院内ベンチャー
  • チャレンジ&失敗しよう

医療にイノベーションを:死なない医療から、生きる医療へのパラダイムシフト

医療におけるイノベーションとは何でしょうか。

不治の病を治すような画期的な治療? 
いいえ、そうではありません。

医療はこれまで、病気を克服し人間の寿命を延ばすべく漸進的に進歩してきました。
その結果、日本人は世界一の長寿となりました。
では、世界一長生きする日本人は、世界一幸福なのでしょうか。
答えは次の事実が示しています。
日本は世界で最も自殺率の高い国の一つである「自殺大国」です。

現在の医療は「病気を治す」ことをしてくれますが、その先の「治してどうするのか」ということには関与しません。
「どうやって病気を治すか(How?)」という方法を示してはいても、そもそも「何のために治すか(Why?)」という目的は示してはくれないのです。

今、医療において、医療が目指す目的そのものを転換すること(パラダイムシフト)が望まれています。

「人は何のために生きるのか?」

それは、哲学的な問題であり、医療の問題ではないと思うかもしれません。
東大病院の救急部で働いていた私は、全力で命を救った方が次の日、再び自ら命を絶とうとして救急搬送されてくるのを何度も目にしてきました。
「そもそもどうして生きなければいけないの?」と尋ねる自殺を図った方を、「それは医療の問題ではない」と片づけて良いのでしょうか?
当院は思春期専門の医療機関として、日々そのような問題と向き合っています。

それに医療としての明確なビジョンを示し、かつ行動に表すのが、当院の使命です。

「死なないための医療」から「生きるための医療」へ。

医療 = アート

デイケア「当事者アートプロダクション」は、当事者の居場所であると同時に、当事者の力を引き出すためのプログラム・ツールを用意し、アートプロダクトとともに生きがいを創ることを目的としています。

当院では、当事者活動を通し、次のようなものを創っています。

・当事者による精神医学の教科書
・当事者が利用する認知行動療法ワークブック
・疾患啓発用パンフレット・リーフレット
・上野お散歩マップ
・ウェブページ(このクリニックのページも自分たちだけで作っています)
・デザイン(本の装丁やクリニックのオリジナルロゴ・看板も自分たちで作っています)
・電子書籍
・ムービー

経営に哲学を ▷ 経営にこころの科学を

当院は認知行動療法(CBT)の第三世代と呼ばれる、アクセプタンス・コミットメントセラピー(ACT)を治療として専門的に提供する医療機関です。

当院はその治療法を患者様に提供するだけでなく、医院の経営にも応用しています。

ACTは「価値の創造」を軸として、進むべき方向を示す「コンパス(羅針盤)」として機能する精神療法・心理療法です。

進むべき方向を示す「コンパス(羅針盤)」は、進むべきルート(パス)を事細かに示す「地図」とは違います。

コンパスがあれば、「立派な大学→立派な会社→定年後は年金で悠々自適」、「結婚→出産→子育て」といったキャリアパスが失われ、明確な道筋がはっきりしない現代社会においても、私たちは迷わず先へ進むことができます。

経営も同様です。従来の売上の拡大とコスト削減による利益の最大化という経営パスは、現代において道を見失いつつあります。
精神医学(こころの科学)は哲学をルーツの一端とし、科学として発展してきた叡智ですが、それは今、経営にも明確な科学的指針を与えてくれています。

これまでも「経営に哲学を」という声が産業界にはありました。今後それは、個人の理念から、科学的な方針へと、「経営にこころの科学を」として昇華されていくことでしょう。

経営の目的=価値創造

当院は営利を目的としていません。

では、その目的は何か?

それは、「生きる意味」という「価値」を当院に来られる方、そして自分たちに生み出すことです。

私たちの組織はそのような社会的目的のためにあり、アメリカではL3Cと呼ばれるような形態に相当します。

Low-profit limited liability company (L3C)
*日本にはまだない概念ですので、日本語の説明がありません

なぜ、営利を目指さないのか?

それは、ひとたび営利を目的としなければ、いろいろな「遊び」を許容できるからです。
コスト削減を目的にムダの排除が叫ばれていますが、そのような「ムダ(遊び)」こそが、医療にとって大切なものを生み出します。

営利を目的としなければ、お金を生み出さず一見ムダに思える「教育」に、存分にリソースを投入できます。
当院は、利益にならないどころか、人的リソースを大いに消費する学生実習・インターン(海外からも含む)を喜んで引き受けています。
それは、時間と人の浪費に見えるかもしれませんが、自分たちの「学び」に繋がり、「創発」へと至る、お金では買えない「価値」となっています。

いくら金銭に換えられない「価値」が大きくても、「ムダ」の多い高コスト体質では、医療機関として存続できないのではないか、と思われるかもしれません。
どんな高邁な目的があったとしても、継続しなければ意味がありません。当然、当院もゴーイング・コンサーンを前提としています。

当院は「ムダ」を無条件に放任しているわけではなく、クリエイティビティやスタッフのためになる「ムダ」を歓迎していますが、自分たちのためにならない「ムダ」はカットしています。
その最たるものが、人材紹介会社に対する紹介料です。
現在、医療機関の多くは人材の獲得に苦しみ、人材紹介会社に多額の紹介料を払って人材を獲得しています。でも、そのような人材はその医療機関のみを希望して就職するわけではないですから、就労が長続きしません。そうして離職者が増えると、職場の雰囲気が悪化し、さらに入職希望者が減るという負のスパイラルに陥ります。
一方、当院は人材紹介会社は一切利用せず、人材獲得には一銭も投じていません。それでも、募集人員の20倍を超える応募がコンスタントにあります。

それは、働くのが楽しい環境を用意しているからです。

経営に創発を:仕事中に遊ぼう

当院は医療機関ですので、診療・教育・研究が業務です。
医療機関は時間に追われるのが常ですが、当院では休憩時間とは別に、「クリエイティブタイム」という時間を毎日設け、「1日の仕事時間のうち、10%は仕事と関係しないことをしよう!」というスローガンのもと、「遊び」に力を入れています。

これには集団で「遊び」に没頭することで、「創発」を促す目的があります。

創発(emergence)とは、「部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れること」です。「局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される」とされています。

この中から、おもしろいアイデアに基づいた「院内ベンチャー」が生まれています。

院内ベンチャー

ダイバーシティ――当事者スタッフから非日本語ネイティブスタッフまで

ストレスケア東京上野駅前クリニックでは、多くの当事者がスタッフとして活躍しています。それは、当事者には当事者だからこそ持っている強みがあり、その強みは治療において大いに役立つからに他なりません。

当クリニックの治療の核となるのは、第三世代認知行動療法と呼ばれるACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)ですが、そのコア・コンピタンスとして、「ACTのセラピストは対等で、傷つきやすく、共感的で、誠実な、そして分かち合う観点からクライエントに語る」というものがあります。

セラピストとクライエントは、上下関係ではなく、ピアとしてともに歩む関係にあります。

あなたと同じく傷つきやすく、あなたの生きづらさに共感し、あなたに誠実に向き合い、過去の辛さや将来の不安、そして日々の喜びを分かち合うのが、私たちスタッフです。

ワーク・ライフ・インテグレーション ≠ ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランスの重要性が叫ばれています。

そもそも、仕事(ワーク)と生活(ライフ)を明確に分けたのは、世界で初めて工場での大量生産を始めた、フォード自動車の創設者ヘンリー・フォードです。ヘンリー・フォードはこう述べています。「働くときは働き、遊ぶときは遊ぶべきだ。だがこれらの2つを合わせるのは無用なことだ」。
その経営哲学を反映し、フォード自動車のルージュ工場では、笑うことが規律に反するとされ、実際、ジョン・ギャロという労働者が「笑顔を見せた」ことが原因で懲戒解雇されています。

はたして、ワークとライフは相容れないものなのでしょうか?

心理学者エレン・ランガーはこう述べています。「理想的なワーク・ライフ・バランスは、仕事と家庭をそれぞれ独立したカテゴリーとして扱うのではなく、仕事と家庭を統合したものと考えるべきです。人は職場であろうが、遊びの場であろうが、基本的には同じ自分に変わりないのです」。

「ワーク・ライフ・バランス」の先へ――遊びを積極的に職場に取り入れ、「仕事を生活と同じように楽しもう」というのが、私たちが考える「ワーク・ライフ・インテグレーション」です。

デザイン経営

リカバリーを先へ、リカバリーの先へ

「本来の自分を取り戻し、それ以上の自分を見つけるための場所」――それがストレスケア東京上野駅前クリニックの目指す場所です。

現代の「こころのケア」において目指すべき道は、目の前の障害の克服だけではなく、その先にあるリカバリー(真の回復)だと私は考えます。
それは人によっては学校や職場に復帰することであったり、あきらめかけた夢や目標をかなえることであったり、あるいは、自らの人生の意味そのものを見出すことであるかもしれません。

疲れたときにお気に入りのカフェで一息つくと、明日からまた生きていく気力が湧いてきませんか?

そんなお気に入りのカフェのような場所を目指し、「こころが疲れたら立ち寄りたいクリニック」として、当院はオープンしました。

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